前回、腸閉塞についてお書きしましたが続きをアップしたいと思います。
前回は腸が捻じれて起こる閉塞についてお話しましたが一番怖いのは腸閉塞のもう一つ、腫瘍などによる腸閉塞です。
その代表が大腸癌です。
(おそらく坂口良子さんはこのケースであっただろうと想像されます。)
癒着性腸閉塞は開腹既往がある方がほとんどです。つまり開腹既往がない方の腸閉塞は大腸癌の可能性が高く、とても危険なのです。
大腸癌は大腸の内側にある粘膜から発症します。
その後腫瘍は内側に発育していき最終的に大腸の内腔を占拠すると
便もガスも通さなくなって腸閉塞になります。
もちろんこの時には進行癌になっていますので転移している可能性が高いことになります。
また、癌による腸閉塞ではその口側の大腸が著明に拡張し、最終的には腸が破れて便が腹腔内に漏れて腹膜炎になることがあります。
便による腹膜炎は非常に予後の悪い病気の一つです。
同じような腫瘍でも出来る場所によって症状の出方が若干変わります。
肛門に近い場合は便が固まりになっていることが多いので、そんなに腸が狭くなくても便が通りにくくそのための腹満感などが出やすいのですが、
肛門から遠い大腸(坂口さんに出来たといわれている横行結腸など)では便が粥状ですので、多少腸が狭くても便が通過し腸閉塞症状は出にくいのです。以前は直腸癌が非常に多かったのですが、最近では肛門から遠い癌の頻度が増加してきています。
以前は直腸やS状結腸など肛門に近い癌が多数を占めていたのですが、最近は肛門から遠い癌がどんどん増加してきています。
すなわち症状が出にくい場所の癌が増加してきているということになります。
便秘気味の方や便潜血陽性の方はもちろんですが、症状のある・なしで安易な判断はせず、
定期的に大腸を全部観察する全大腸内視鏡検査を行われることを是非お勧めします。
花畑クリニックでは定期的な全大腸内視鏡検査をおすすめしています。